Pieces Of Peace

Journal to me in the future

【全訳】「ビル・ゲイツだけど質問ある?」I’m Bill Gates, co-chair of the Bill & Melinda Gates Foundation. AMA : IAmA

gates<3reddit

計35回答、さっそくどうぞ。


Q:自由でオープンなインターネットに対する圧力について、何か思うことある?

A:2つあるよ。1つ目はソフトウェアの有料無料。みんながそれらを組み合わせて色々やってることがとても面白いよね。いかにもな商業ソフトウェも無料版があったりするし、無料が当然といった具合のものにも有料オプションとかあったりする。

2つ目は実名と匿名の問題かな。これも1つ目と一緒で多分ずっとこのままだろうね。なぜならどんな人でも匿名と実名を使い分けたいだろうから。この領域での進展がなさすぎなことには驚かされるけど。
(原文)

Q:なんでも自分で買えちゃうんだろうけど、そんなあなたの誕生日プレゼントにみんなは何を贈ってるの?

A:フリーのソフトウェア。うっそー。

本かな、実際は。
(原文)

Q:実際には果たせなかったけど、これだけは市場に送り出したかったっていうMicrosoftの製品ある?

A:クライアント/クラウドベースのデータベース/ファイルシステムをWindowsの一環として企画してことがあるんだよね。現在の充実したクラウドストレージとクライアント側でのスキーマ活用とかを組み合わせればうまくいきそうなんだけど。
(原文)

Q:それって名前あった? ひょっとしてWinFS?

A:正解!!
(原文)

Q:Vistaじゃなくて?

A:Vistaは実際に出荷されたよ。WinFSはそれまでに終わっちゃってたけど。
(原文)

Q:裕福になってからの「一番安上がりな楽しみ」ってなに?

A:子ども。安物のチーズバーガー。オープンコースウェアかな..
(原文)

Q:その安上がりな子どもってどこで手に入るの?

A:コウノトリ
(原文)

Q:それやりすぎでしょ、と言われかねないほどの寛大な慈善活動にご熱心なようですが、他の金持ちから何か言われないの?

A:慈善活動家と会って取り組みについて話したりするのは好きだよ。最近はより多く、より早く、より賢明な活動を、って動きがあるよね。慈善って与える側次第だけど、一番裕福な者が先陣をきるのはいいことだろうと思ってるよ。
(原文)

A:あと、息子/娘たちに巨額の資金を残すのは彼らのためにならないと強く思ってる。1986年のフォーチュン誌の記事でウォーレン・バフェットがこれについて語ってて、それは正しいと彼と会う前から思ってた。合意しない人もいるけど、これについては譲れないな。
(原文)

Q:今でもコード書いたりするの?もしそうならどの言語?

A:書いてるよ。望んでるほどには書けてないけど。言語はC、C#、あとはBasic。新しく出てきた言語がどれもプログラミングを簡単にできてないことには驚くばかり。高校生がもっとプログラミングすればいいのになぁ、と思うね。
(原文)

Q:おすすめの本は?

A:ここ10年で一番のお気に入りはピンカーのThe Better Angels of Our Nature。長い一冊だけど、世の中の暴力と差別が減少してきていることについて深く考察されてるよ。gatesnotes.comでいっぱい書評してるんだ。(ちょっと宣伝しすぎかな?http://b-gat.es/12GKLyN)
(原文)

Q:パキスタンやナイジェリアで医療専門家が狙われる事件が発生していますが、今後10年以内にポリオは根絶できると思いますか?あと、アンチ予防接種の流れについてどう思いますか?

A:予防接種実施者が狙われるのは本当にひどい話。でも、両国ともに根絶に向けてしっかり取り組んでいるよ。僕自身、この活動にほとんどの時間を費やしてるし。2018年までには完了の予定なんだけど、まだまだ資金が必要だし、実行力がいるね。衛星地図やGPSを使った支援が必要な場所の特定とか、先進的なこともやってるよ。ポリオは天然痘よりも大変な病気だけど、きっとなんとかなるさ。(詳しくはwww.billsletter.comhttp://annualletter.gatesfoundation.org/#nav=section4&slide=2)
(原文)

Q:どんな端末使ってるの?

A:一週間前にSurface Proを手に入れたばっかり。これはとってもいいね。

いま使ってるのはPerceptive Pixel displayっていうでっかいWindows8のタッチ式ホワイトボード。もっと安くなって普及すればいいんだけど.. (http://i.imgur.com/1JqrLVc.jpg)
(原文)

Q:いまでも椅子のうえを飛び回ったりできる?

A:昔と比べるとできなくなったよ。あれはスキーの練習の一環だったんだよね。今でもスキーはするけど、昔ほどじゃなくなったな…
(原文)

Q:まじでBingなんて使ってんの?いやマジで…

A:マジで、Bingはいま時点ではかなりいいプロダクトだよ。一回使ってみなって。僕の意見が身内びいきなのはわかってるけど、とはいえBingをよくしようという試みはほんとにすごいんだ。
(原文)

Q:いまの先端技術のうち、コンピュータみたいに一般消費者の生活をがらっと変えそうなもの、何かあります?

A:ロボット、pervasive screens、音声応答といった技術は僕たちがコンピュータと向き合う方法を変えるんじゃないかな。見る、聞く、読むあたりがうまくいくようになると新しい形が見えてくると思う。
(原文)

Q:スティーブ・ジョブズとの関係ってどうだったの?良い友人でありかつライバルだといいな、と思っているのだけど。

A:互いを尊敬しあう間柄だったよ。最大の協業はMacで、Microsoftはそれ用のアプリを作るためにAppleより多くの人を割いてた。彼が亡くなる数ヶ月前のひととき同様、スティーブとはよく会っていたよ。
(原文)

Q:全世界的な医療・健康問題のうち、あと少し労力がそこに向かえば解決できそうなものってなんですか?

A:ポリオがまず最初に片付けられそう。あと6年くらいかな。そのあとは、マラリアと麻疹だね。アフリカでは毎年50万人もの子どもたちがマラリアが原因で死亡しているんだ。あと、HIVと結核を予防するためのワクチンも必要で、これはだいぶ進展してるね。
(原文)

Q:お金じゃ解決できない、「ちょっと変だよこんな世の中」なことありますか?

A:全ての政府が北欧諸国の政府のように合理的だったらいいのにね。彼らはうまく折衷案を見つけて公共サービスを広く提供できていると思う。先週のエコノミスト誌に特集が載ってたよ。アフリカ諸国の政府は脆弱なことが多いけど、これは小切手をきって解決できるような問題じゃないね。水準があがればいいな、と思ってる。実業家のモ・イブラヒムがこの辺をよく追跡してるよ。(http://www.moibrahimfoundation.org/IIAG/)
(原文)

Q:もしMicrosoftが成功しなかったら代わりに何やってました?あと、中流家庭の人が世界を良くするために何かしたいとしたら、慈善活動家のなかでももっとも裕福な人物としてなにかアドバイスありますか?

A:マイクロプロセッサが世に出まわってなかったら、何をしてきたかなんて検討もつかないな。医療か理論数学(theoretical math)とかかも。2つ目の質問については、寄付の大半は中流階級から来てるんだよね。特にアメリカだとそうで、まさにこの国の寛大さの屋台骨ってところ。大事なのは、予算の1%しか占めないような公的支援を援助することが、貧困国を驚くような方法で救ったりするってこと。
(原文)

Q:小学2年生のときに書いた手紙にあなたが返事をくれたことにお礼を言わせてください。あなたの直筆サイン、いまでも持ってます。クラスみんなでいろんな有名人に手紙を書いたけど、あなただけが返事をくれました。暫くの間私をちょーイケてる小学2年生にしてくれて本当にありがとう。

Q追記: 帰ってきたから手紙探してみる! gates01
Q追記2: http://imgur.com/qzaZYLG 見つかるまであきらめないよ! gates02
Q追記3: http://imgur.com/fIXij3F 写真発見!! gates03
Q追記4: http://imgur.com/KusJZGB 手紙もあったよ!

A:それをとっておいてくれて本当にうれしいよ!!
(原文)

Q:ゲイツ財団の成功ってどうやって調べてるの?他の慈善団体にはない、ゲイツ財団の特徴ってなに?

A:ゲイツ財団は世界中の最貧困層を支援すること、それとアメリカ国内の教育をよくすることに注力してるんだ。資金の半分は世界規模の健康問題に使ってるよ。成功を調べる尺度の一つは、5歳以下の子どもの死亡率だね。これについては、毎年出してる書簡で進展について報告してるよ。

驚きなんだけど、健康状態が改善すると、いち家族あたりの子どもの数は減るんだよね。だから逆説的だけど、医療・健康問題を改善すれば人口増加の傾向は下向きになって、その他いろんな問題の改善にも繋がるんだよね。公衆衛生学者のハンス・ロスリングのこの動画がこの辺の話題について説明してくれてるよ。http://www.reddit.com/r/videos/comments/189bwr/most_people_still_think_of_the_world_as_being/
(原文)

Q:ゲイツ財団の一番の功績ってなんだと思います?あと、どうやって援助すべき課題・問題を選んでるんですか?

A:下痢や肺炎用のワクチンを沢山提供して何百万もの人の命を救えたことがいまのところ一番の功績かな。もし達成されれば、ポリオの根絶もとても大きな功績になると思う。
(原文)

Q:Weezerはいまでもお気に入りのバンド?

A:Weezerねぇ..いまはU2がお気に入りかな。スパイナル・タップの復帰をずっと待ち望んでるだけどね…
(原文)

Q:アンチ予防接種活動って発展途上国には存在しなくて、逆にアメリカではとても大きな流れになってます。結果、インフルエンザとか百日咳の発生率は過去最大です。国内のこの問題に取り組む予定はありますか?

A:全ての国において、ワクチン・予防接種は間違いなく大事だよね。一部の良くない噂のせいで、子どもたちが百日咳で亡くなってるわけで。予防接種の重要性を啓蒙するキャンペーンへの援助は国内でもやったことがあるよ。北欧諸国は、健康・医療問題についていい仕事してるんだよね…
(原文)

Q:1)インドの一番の課題ってなんだと思います?2)Microsoftを退職して慈善活動に注力すると決意したきっかけはなんだったの?3)退職して以来、Microsoftとのかかわり合いはあるの?

A:インドは特に北部でやるべきことが沢山あるよね。既に貧困国でも使われるようなワクチンが使われてなかったりするし。ポリオ対策、健康・医療関連予算の確保についてインドはよくやってると思う。僕たちは政府や地方自治体とも強力して活動してるよ。 (原文)

Q:息抜きになにしてるの?あなたほどの人になると、本当の意味で息を抜くことって不可能にも思えるのだけど。

A:まずはテニスかな。あとブリッジも好きだね。子どもたちと一緒に社会見学(発電所やゴミ処理場とか)に行ったりするのも好きだよ。本も沢山読むし、あとは通信講座を受講したりしてる。
(原文)

Q:世の中で最も恐れてることはなんですか?

A:核やバイオ兵器で武装したテロリストが現れないことを望むよ。あの類の兵器はきちっと管理してもらわないとね。あとはCO2削減が進まないことにがっかりしてる。CO2を排出しない代替エネルギーの研究開発に政府はもっと予算を費やすべきだと思う。

とはいえ、どちらかと言うと僕は楽観的な方じゃないかな。少なくとも200年前よりは、物ごとははるかに良くなってるし。
(原文)

Q:Pirates of Silicon Valleyでの自身の描かれ方についてどう思ってました?

A:概ね正確だったと思うけど…
(原文)

Q:Windows8って結局どうなの?

It is a huge advance for Windows which people will see even more as the great applications and hardware come out..

A:その良さ、先進さはアプリ、ハードが充実してくればもっと伝わるようになるんじゃないかな。
(原文)

Q:あなたのBucket List(死ぬ前にやりたいことリスト)にはまだ何か残ってるの?

A:まだ死なないで…
(原文)

Q:一度でもMacintoshを所持してたことがある?

A:MicrosoftはMac用ソフトウェアを沢山作ってるよ。メインで使ってるのはWindowsだけど、これまでのApple製品はすべて試してきたよ。
(原文)

Q:Windows 7 or Windows 8? さあ、どっち!?

A:新しいのはいいのだよ。
(原文)

Q:各国の石油依存についてどう思いますか?代替燃料の研究に関心はある?

A:気象問題についてTEDトークをやったことがあるよ。CO2削減は必須だから、化石燃料を使うならきちっとした対策をしないといけない。けど、取り組みが全くといっていいほど足りてないよね。(http://www.thegatesnotes.com/Topics/Energy/Talking-About-Energy-Miracles-at-TED)
(原文)

Q:数学教育を不要のものとせずに、技術がそれをより豊かにする方法ってあると思いますか?

A:知識を試して、間違えちゃった事柄の見識を改める能力は学習体験を個性的なものにしてくれるよね。Salman Khan)のような人たちがこの領域で色々と取り組んでるよ。ゲイツ財団ではコミュニティカレッジに通う子どもたちや数学の補習を受けなきゃいけないような子どもたち向けの公開オンライン講座MOOCを沢山援助しているよ。いつかこれらが大きな成果を生むと思ってるんだ。
(原文)


アメリカ西海岸のイメージでざっくり訳してみました。誤字誤訳などありましたらTwitterでお知らせいただければ幸いです。

ご本人の現在の取り組みを反映してか、医療系の質問への回答が多いですね。ゲイツ家ではApple製品の保持・使用が禁止されていることは有名1ですが、「自分ではほとんど試したよ」という回答には驚きました。


【祝】このブログで紹介した本を初めてお買い上げいただきました【俺得】

先日のこれに続き、またしても「ブログやっててよかった!!」なお話。

記念スクリーンショット
↑記念スクリーンショット

何が嬉しいって、自分が書いた文章に「これ買ってみよう!」と誰かを動かせるほどの説得力があったんだ、と教えてもらえたこと。これは本当に嬉しいです。評価経済やねー、と1

マラソン系の話題はこのブログの人気記事なので、今回のお買い上げに繋がった以下の2記事同様、今後も走ることについて語るときに僕の語ることを書いていこうと思います。なんかやる気出てきたっ!!


  1. 使い方間違ってる気がするけど気にしない方向で。


再読したことのない本棚のそれを自炊したところで、再読の機会がうまれるわけじゃない

という思いつき。

本棚にある本全て自炊→処分して保管の問題を解決したい!!と思っていた時期があった僕には目からウロコ…

とはいえ@yutakashinoさんが仰るとおりで、既読の書籍をお金をかけて自炊したところで、結局また読むのか?ってことなんですよね。参考書の類はともかく、流行りの小説や新書なんて殆ど再読したことありませんし。

仮にそれらの本を再読したくなったとしても、大半は最寄りの図書館経由で閲覧可能なわけです。もともとの書籍代に加え自炊費用を負担してまで保管するメリットがまるでない。

データで手軽に持ち運べれば...というのもイマイチで、持ち運びに使う端末に詰まった他のコンテンツと見比べたとき、その自炊書籍をあえて再読する気になるのか甚だ疑問です。

保管と購入の基準を「他人にも読んでもらいたいかどうか」で決める

ここでの他人とは家族、特に子どもを意識しています。現時点で自宅にある紙の本については、子どもにも読ませたいものだけを保管していく方向で1

そして今後購入する書籍については、

  1. 可能な限り電子書籍、特にKindle Storeで買う
  2. 電子書籍が買えない場合は図書館で借りる
  3. 借りるのが難しい場合は「一回読む用」と割りきって買って読んで処分する

とし、このなかで上に挙げた「保管の基準」に合うものだけを紙の本で残していこうかと。

思い立ったが吉日。今週末あたりに本棚の大掃除始めます。

@yutakashinoさんの自炊業者評価

使用されたのはBOOKSCANのようですが、退会手続き含め非常に好印象なようですね。どうしても捨てられない本に限りスキャンを依頼してみようかな。


  1. 一部の参考書の類も残しておく予定。


津田大介さんのメルマガ「メディアの現場」でこのブログの記事が紹介されました

tsudaemail.jpeg
↑記念スクショ

分量の多さゆえに読者を苦しめていることでも有名な津田大介さん@tsudaのメルマガ、そのVol.60津田メルマガvol.60【津田大介の「EPUB配信の現場」】で当ブログの記事が紹介されました1。ありがとうございます!

tsudaemail_site.jpeg

メルマガブーム、Kindle Paperwhiteの日本発売、という流れでちょうど便利な内容だったのでしょう。多くの方に読んでいただけているこの記事ですが、まさかブームのどまんなかにいらっしゃる方から言及いただけるとは思っていませんでした。驚いたやら嬉しいやら。感謝多謝です。

これからも本ブログPieces of Peace、および@harupongをよろしくお願いいたします。


  1. 「7.特別企画:津田マガをKindleで快適に読もう!」で取り上げて頂きました。


クラウドのうえのオフラインストレージ、Amazon Glacierを使うための初期費用は【1万ファイルにつき0.5ドル】くらい

タイトルが結論で他に語ることはありませんが、もしお時間あれば以下の駄文もお付き合いください。

先月1ヶ月かけて個人データをAmazonのストレージサービスであるS3Glacierに引っ越しました。同月の請求書が届いたので、実際に掛かった初期費用を見ておきます。

glacierInitialCost.jpeg

使用量に対する課金は月極従量課金ということで初期費用から省きます。今回は利便性を考え、約49,500ファイル、213GBのデータをS3にアップロードしたあとGlacierに移行しましたので、

S3へのアップロード費用1
54,509リクエストで0.55ドル
Glacierへの移行費用1
51,129リクエストで2.56ドル

の合計3.11ドルかかりました。1万ファイル0.6ドルくらいでしょうか。S3を省けば料金表どおりの1万ファイル0.5ドルくらいです。当たり前ですね。

とはいえ、今後の利用を検討している方は、1GB/0.01ドル/月の月極課金に加え、1万ファイルにつき0.5ドルの初期費用も頭の片隅に置いておくといいでしょう。海外では数百万のファイルをアップしえらい額の請求が!!という話もありました1

これからはオフラインストレージという言葉が流行るかもしれない

先日、アマゾンデータサービスジャパン株式会社主催の AWSストレージソリューションセミナーというのに参加してきました。お題は

  1. Amazon S3, Amazon Glacier(グレイシャー)のご紹介
  2. AWS Storage Gateway (ストレージ ゲートウェイ)のご紹介

の2点だったのですが、前者のスピーカー北迫さんのスライドにしきりと「オフラインストレージ」という言葉が出てきたのが印象的でした。これまでオフラインストレージといえばテープや光ディスクなどのことを指してきたように思いますが、Amazonはその分野もクラウドに持って行っちゃおうとしてるのね、と。

社内LAN、自社データセンター、といった設備・資産の抱え方を真剣に見なおしてもいい時期に来てそうです。AWS包囲網によって「クラウドには◯◯がないから...」という言い訳がひとつずつ潰されている印象。不可逆と思われるこの流れ、まさに「インターネットが負ける方に賭けるな」ですね。

併せて読みたい

引越しのゴタゴタが気になるという方、これらも併せてどうぞ。


  1. $0.01 per 1,000 PUT, COPY, POST, or LIST requests の部分

  2. $0.050 per 1,000 Glacier Requests (US) の部分

  3. Cost of Transitioning S3 Objects to Glacier - Alestic.com


「Kindleで読んだ続きをiPhoneで聴く」Whispersync for voiceがとても便利でお得だった

IMG_0861.jpeg

Kindleのしおり同期機能Whispersync、複数のデバイス間でしおりを同期してくれるだけでも相当便利なのですが、アメリカでは一歩進んでオーディオブックまで同期しちゃうみたいです。

冒頭のスクリーンショットが実例なのですが、本のページ数とオーディオブックの再生時間をシステム的にマッピングしてるようで、スムーズに本の読んだ位置とオーディオブックの聴いた位置を同期してくれます。

ここ数日この機能を使っていますが、電車の中での読書がとても捗りますね。画面を見なくていいので目も疲れないというおまけつき。

セットで買う必要あり、でも嘘みたいに安い

試しに買ってみたのはThe Quest: Energy, Security, and the Remaking of the Modern World。ビル・ゲイツ氏が2012年に読んだ本の第3位に挙げた、エネルギー関連の本です。翻訳版も出てますね。

Amazon.comではハードカバーが23ドル、ペーパーバックが11.8ドル、Kindle版が10ドルですが、Kindle版を買うと上図のように

「このKindle本をプロが音読してくれるけど、追加で買ってみない?今なら89%オフの3.95ドルでいいよ」

と対応書籍の場合はもれなくオススメしてくれます。わずか数ドルで800ページを越える本のオーディオブックが手に入るわけですから、これはもう買うしかない!!

気になるけど洋書だし..という方、Kindle本とオーディオブック、セットで無料のものもいくつも用意されています。ガリバー旅行記とかが無料で読み聴きできるようです。ぜひお試しあれ。


このサービスは今のところアメリカAmazon限定で提供されてるので、日本でKindleを買った場合は別にアメリカAmazonのアカウントを作ってライブラリを統合する必要があり、ちょっと敷居高めです。しかも書籍の電子化、音声化ともにまだまだこれから。

BOOKSCANが始めた「音声化チューニング」がすごい - ただのにっき(2012-11-22)

BOOKSCANが音声化チューニングの進化版としてWhispersync for voice相当を本家に先んじて日本で出してしまわないかな..と妄想したりしなかったり。

併せて読みたい

シゴタノ! 洋書はKindleで読みAudibleで続きを聞く
→Audibleの設定方法や注意事項が詳細に解説されてるので、興味ある方は一読をオススメします。

探求――エネルギーの世紀(上)
ダニエル・ヤーギン
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 32,386
探求――エネルギーの世紀(下)
ダニエル・ヤーギン
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 27,365

俺も俺も俺も2013年は短文でもブログに投稿する

あけましておめでとうございます。年明けはや10日、遅きに失するもここまでくれば開きなおって「アケオメ!」できますね。

2013年は短文でもブログに投稿する : akiyan.com
俺も2013年は短文でもブログに投稿する - カイ士伝
俺も俺も2013年は短文でもブログに投稿する — 乱れなよ、そして召されなよ

皆さんがおっしゃるとおりで、思いついたことをフローの方に書いちゃう1とそれで満足しちゃうのです。。フローばかりでストックできない。自分のために書いてるブログなのにそれじゃ本末転倒。

ということで、今年は「目標をセンターに入れてスイッチ」を入れるように、とにかくブログに投稿していきたいと思います。話はそれからだ。


  1. やや長文をFacebookに投稿したあと、「あ、ブログに書けばよかった」なことが多々...


年末データ大掃除(2) ~Amazon S3/Glacierに全てを漏れなく安価に保管できてすっきりした編~

前編はこちら。今回は後編と考察です。

大掃除その1. Googleからデータを削除した

容量130GB、ファイル数にして4万弱の画像、映像ファイル。漏れなくPicasa Web Albumにアップしていましたが、まずはこれを全て削除しました。ただしPicasa Web Albumのネット経由での閲覧機能は便利に使っていたので、Google+に参加して高解像度画像を無料で保存できるようにし、ネット経由での閲覧手段も併せて確保しました。

Google Storage
↑無料会員であることを示す1024MBの文字。しかも使用量0MB(0%)。すっきりです。

大掃除その2. オンラインバックアップサービスに全てを漏れなく保管した

計画を立てている段階では、Googleに代わるバックアップ先として無制限定額なCrashplanを使う予定でしたが、実際に使ってみてアップロード速度の遅さに辟易1その後Amazonのストレージサービスをあれこれ試し、最終的にAmazon S3にアップロードしてAmazon Glacierに保管する方式に落ち着きました。

S3 Console
↑S3のコンソールで見るバックアップデータのリスト。プライスレスな4万弱、130GBの写真や動画がこのなかに収まってます。

Googleから削除したファイルに加えiTunesの音楽データなどを合わせて保管したら、容量は220GB、ファイル数5万強とスゴイ量のバックアップになってしまいました。とはいえ、これでも月200円程度で済むと思えば安いものです。

むしろその値段で「あのNASANASDAQも使うS3に個人データを預けられてる」という安心感が買えてしまうことに驚きです。万人向けではありませんが、世の家庭内SEの皆さんにはぜひ試してみていただきたいです。

考察など

先月下旬にデータ整理を思いついてからはや1ヶ月、ようやっとひと通り片付けることができました。その最中、あちこち寄り道、遠回りしつつ以下の様なことを考えていました。

  1. 手間を掛けない

    「継続は力なり」とはよく言ったものですが、バックアップの場合は「継続できないと命取り」なわけです。いざデータを復旧しようとしたら、「何ヶ月も前にとったバックアップしかないよ..」とならないようにしなければなりません。

    「3-2-1 ルール」なども参考にしつつ、自分のルールに従って淡々とバックアップしましょう。バックアップの形態に応じてツールはよりどりみどり、ぜひ自分に合うものを探してみてください。ちなみにWindowsでのオススメはCloudBerry Backup for Windowsです。

  2. 「何を残さないか」を決める

    あれもこれもと欲張るにはスペースが足りなさ過ぎますし、作業時間も有限です。思い切って、バックアップしないデータの仕分けをしてみました。バックアップを段階分け2し、うまく線引して「消えても後悔しないデータ」を切り離すことが大事かと。

    当面、「消えてもまた入手できるデータ」はバックアップせずにまわしてみます。

  3. 安心にはお金がかかる

    今回の大掃除では新たにNASを一台購入、またクラウドストレージとしてAmazon S3に利用料金を払い続けることにしました。初期費用だけで1万数千円かかりましたが、散らばっていたデータを掃除できたさっぱり感、幾重にもデータを保護できている安心感など価値のある出費だったと思ってます。

    また、消えたら二度と入手できないデータ、特に写真データを、Amazon S3というまさに「その道のプロ」に預けられたわけですから、毎月数百円の出費は安いものです。自宅だと停電や天災など以外にも、「家族」が思わぬ障害要因になったりしますから..3


先月の思いつきから始まった「年末データ大掃除企画」、番外編や調べたことのメモなどを含めると5つもの記事になりました。本を自炊したりするともっと色々出てきそうですが、それはまたいずれ。重い腰を上げたおかげで、データのことを心配せずに済む日々をしばらく送れそうです。


  1. アップロード速度が200~500kbps、全データのアップロードに丸40日もかかると言われるとね..

  2. 単一の「3-2-1ルール」を全データに適用する必要はないよね、という話です。データの複製はいっぱい取るけど、手間暇かかるオフサイトバックアップは大事なデータだけ、という発想でやってます。

  3. 妻が掃除機の先をグッと押し込んだ先に外付HDDがあったり、息子が放り投げたおもちゃがNASをなぎ倒したり..(涙)


ややこしすぎるAmazon Glacierのデータダウンロード料金まとめ

まだまだ続くGlacierネタ、もうしばらくお付き合いくださいまし。

1GB/1セント/月の料金で個人向けバックアップサービスとしても注目のAmazon Glacierですが、その安さの仕組みゆえか、ややこしいのが料金体系。

特にデータダウンロードの方は料金表を見てるだけではいくらかかるかまったく分からない複雑さで、FAQを読み解いてようやく理解しかけてきたところ。せっかくなのでまとめておきます。

時間がない方向け:公式の計算機を使いましょう

Amazon Web Services Simple Monthly Calculator

身も蓋もないですが、金額を把握したいだけならそれが一番手っ取り早いです。計算しとけばあとで驚く心配なし。

awscalc
↑200GB保管、50GBを1日でダウンロードの例。

では次に、データダウンロード料金計算の仕組みを知りたい方向けに、実際に料金体系を分解してみます。

データをダウンロードするには、「データを取り出し」てから「データを転送」する必要がある

まず、ダウンロードにはデータ取り出しとデータ転送、2つの料金がかかることを理解しましょう。レンタル倉庫に例えると分かりやすくて、業者が管理する倉庫(Amazon Glacier)から荷物を取り出してもらう(データ取り出し)手間、そして郵送(データ転送)してもらう手間、その2つの手間に対して業者にお金を払うようなイメージです1

先にシンプルなデータ転送の方から説明すると、こちらは1GBいくらで支払います。利用するデータンターにもよりますが、概ね12~20セント/GBくらい。詳しくは公式の料金表を確認してください。

データ取り出し料金:大事なのは「無料枠」「ピーク取り出しレート」

一方、複雑なのがデータ取り出し料金。ポイントは「無料枠」と「ピーク取り出しレート」です。

無料枠の「月平均保管量の5%」ってどういうこと?

無料で取り出せるのは、1 か月当たり、お客様の月平均保管量の 5% まで(1 日ごとに案分)です。
Amazon Glacier FAQs

逆に一日あたりどの程度が無料枠になるのかを考えると分かりやすいです。例えば

200GB(取り出し実行日時点の保管量)
× 5%(無料枠率)
÷ 31日(12月なので31。2月なら28)
= 0.32GB/日(月平均保管量の 5%)

200GB保管していると、12月なら1日あたり0.32GBを無料で取り出すことが出来ます。1ヶ月30日分なりでこの計算をした値の合計が、月平均保管量の 5%となるわけです。

個別の取り出しには課金せず、ピーク取り出しレートにのみ課金する

取り出し料金は、毎月の請求可能なピーク取り出しレートに基づいて計算します。
Amazon Glacier FAQs | Q: Amazon Glacier から大量のデータを取り出すときの請求額はどのように計算されるのですか?

海外フォーラムでも複雑だ!!と話題になっていますが、ピーク取り出しレートを用いた計算、というのが一見ピンと来ないわけです2。おそらく、サービスに高い負荷をかけて欲しくないという発想で決められた料金体系だと思います。

実際のピーク取り出しレートの計算ですが、例えば4GBのデータを取り出す場合、

4GB(4時間あたりの取り出し要求したデータ量)
÷ 4時間(ピーク取り出しレート算出単位)
= 1GB/時(ピーク取り出しレート)

この計算のポイントは「4時間」という時間を決め打ちしてるところです。

  1. 1日を4時間ごとに区切った枠3内で、取り出しを要求したデータ量の合計を
  2. データ取り出しに要する時間の4時間(課金用に仮定。実際は3~5時間)で割る

という流れで計算されます4。ややこしくなってきましたね、あと一息です。ここに、上で算出した無料枠を加味してみます。

1GB/時(ピーク取り出しレート)
- 0.32GB/日(無料枠) ÷ 24時間(単位合わせ)
= 0.986GB/時(ピーク取り出しレートの有料枠)

この値がピーク取り出しレートの有料枠になります。そして料金計算の最後、ここがとても乱暴、かつ従量課金じゃないところなのですが、

0.986GB/時(ピーク取り出しレート有料枠)
× 0.01米ドル(有料枠1GBあたりの取り出し料)
× 24時間×30日
= 7.1米ドル/月

求めたピーク取り出しレート有料枠に取り出し料をかけ、かつ1ヶ月間ずっと取り出し続ける仮定で時間をかけて料金を算出します。この例でいえば、

  • 1ヶ月の間に一度だけ4GBのデータ取り出しを要求しようが
  • 4時間おきに4GBデータ取り出しを1ヶ月間要求し続けのべで720GBになろうが

データ取り出し料金は変わらないということです。使った分だけ支払うが最大の特徴であるはずのAmazon Web Serviceでは異端ともいえる料金体系です。それだけ極端なサービス、とも言えるのかもしれません。


(2012/12/18 追記)
(2012/12/20 リンク先更新につき再追記)
Cost of Transitioning S3 Objects to Glacier - Alestic.com

「S3からGlacierにファイルを転送した場合の料金」についての記事が話題になってるようです。ポイントは2つあって、

  • 350GB500万ファイルを転送したら数万円の請求がきたよ(アップロードにも1,000ファイルあたり0.05ドルかかるため)
  • サイズが13KB未満のファイルは、Glacierに移すよりS3に置いておくほうが得だよ(631,613/(アップしたファイルサイズの平均-13,011)=元を取るのにかかる月数)
  • 1KBのファイル1つを転送すると、元を取るのに50年かかるよ(631,613/アップしたファイルサイズの平均=元を取るのにかかる月数)

サードパーティソフトウェアが次に組み込むべきは「Glacierへのアップロード料金計算機」かも。
(追記おしまい)


ざっくりとですがAmazon Glacierのデータダウンロード料金についてまとめてみました。ご利用は計画的に。


  1. この例だと実際の輸送料は、ユーザーが支払うネット回線利用料に相当しますね。Amazonに払う転送料とは別に自己負担です。

  2. 完全従量課金なはずのAmazon Web Serviceが、いかにも従量課金しそうなところでそうしない決断をしたところに、Amazon Glacierの異端児感が良く出ている気がします。

  3. 時間枠については推測。00:00:00UTC~03:59:59UTC、16:00:00UTC~19:59:59UTCといった具合。日本時間は+9時間なので01:00:00~04:59:59や09:00:00~12:59:59で区切られることになるはずです。

  4. データ量は合計なので、例えば3GB、2GB、5GB、2GBと1時間おきに取り出しを要求すると、12GB÷4時間=3GB/時がピーク取り出しレートになります。


勘違いしないようにしたい、Amazon Glacierのデメリットあれこれ

先日GIGAZINEでこんな記事が公開されてました。反応を見ていると「写真の保管に使えそう」「消せないファイル置き場にいいね」などと皆さんの印象はよさそうですが、実はこれ、「転んでも泣かない方」専用です1

注意喚起として、転びそうなポイントを挙げておきます。

ダウンロードは二重の「有料制」

公式サイトによると、データをダウンロードするにはデータ取り出し料とデータ転送料の2種類の費用を払う必要があります。

前者は無料範囲を越えると0.01USドル~/GB、後者は~0.12USドル/GBということで、例えば100GBのアップロード済みデータを全てダウンロードすると

一ヶ月かけてゆっくりダウンロードする
12.83USドル
回線速度が許す限り急いでダウンロードする
191.58USドル

と、値幅はあれど結構な金額が課金されます。「保管料安くする分、取り出しの特急料金はしっかりいただきます」な仕様になってるのでご利用は計画的に。

ファイル名などは一切保持されない

GIGAZINEで紹介されたFastGlacierのヘルプページに以下の記載があります。

As you probably know, Amazon Glacier doesn’t support file names. Each file (an ‘archive’) has a unique ID and an optional description (an ‘archive description’).
FastGlacier and many other Amazon Glacier tools use archive description to store filenames and other metadata such as last modification time.
Unfortunately there is no single standard on storing metadata. FastGlacier tries to support most of the common metadata formats.

(意訳)Amazon Glacierはファイル名を保持しません。FastGlacierはじめ多くのツールは、Amazon Glacierの備考データにファイル名を記録します。しかし、残念ながらその記録方法は統一されていません。

これもサービスを安価にする工夫の一つなのですが、Amazon Glacierではファイル名や更新日などが保持されません。そういった情報の管理は利用者に委ねる仕様になっています。

つまり、FastGlacierでアップしたファイルはFastGlacierでダウンロードしないと元のファイル名が得られませんし、そもそも他のツールでAmazon Glacier上のファイルを参照しても以下のような文字の羅列に襲われて悲しい気持ちになってしまう、ということです。

glacier filename
↑FastGlacierでアップしたファイルをCloudberry Explorerで参照した画面。左側のNAME(ファイル名)列に並ぶ呪文のような文字列が目に痛い..

Write Once Read Many、上書きできません

Amazon Glacier公式FAQにもあるとおり、アーカイブは変更不可能、上書き保存ができません。

例えば2GBの動画ファイルを少しだけ編集しても、上書き保存ができないので2GB全部をちまちまとアップロードし直すしかない、ということです。これはなかなか苦痛2..


そもそもビジネス用途なAmazon Web Serviceですが、そのなかでもAmazon Glacierかなり極端なサービスであるだけに、「100GB保存しても月100円以下!安い!!」と手を出すとヤケドする可能性大です。

用法、容量を守って正しく計画的に使うようにしましょう。そこ、転んでも泣かないように!!


  1. 実際に転びましたがなにか?

  2. Dropboxなどのサービスの場合、差分バックアップ等の仕組みで「変更されたデータ」のみをアップロードしてくれます。