「the Martian」 Andy Weir

キーワードは「ダクトテープとじゃがいも」です。

The Martian: A Novel

火星探査ミッション第3隊、火星滞在6日目にして突然の嵐に襲われ火星を離れることに。避難行動のさなか、突風にさらわれて行方不明になる主人公。脈拍等は計測できず、残された隊員は彼を残して火星を離脱……けれど、実は主人公は奇跡的に生きていた!!

という設定から、主人公 Mark Watney がいかに生き延び、地球への生還を目指すのか、というお話。ロビンソン・クルーソーとアポロ13とゼログラビティを足したような内容です。どれか1作品でも好きなモノがあれば、読んで損はなし。

ちなみにこれは洋書ファンクラブ経由で知った1冊。紹介される本はスゴ本ばかり、いつも感謝しております。

I’m pretty much fucked.

「まじやばいかも。」という文章から始まるこの小説、ページめくりが止まらない感が異常です。しかもその “being fucked” がどんどん積み上がっていくのでもうたまらんっ!著者の Andy Weir さんはこれが処女作だそうで、次回作にも期待が高まります。

NASA 関係者の場面などもありつつも、基本は主人公の日記なので英語も平易です。機材名などは日記のなかでその用途が説明されるので、辞書がなくても読みきれる1冊。こないだ読んだ本は英語で随分苦労したので、よいリハビリになりました。

エンジニアと Science Fiction と Kindle Direct Publishing

Wikipediaによると、著者の Andy Weir さんは

  1. 2009年からこの本の執筆を開始
  2. 出版社にボツにされ続けたので、自分のサイトで全文公開
  3. ファンの要望に応じて KDP で自費出版
  4. 3か月で35,000部を売り上げ、Amazon SF ランキングのトップに

しかも本職はプログラマーということで、「これってアメリカ版藤井 太洋さんじゃん!」と。しかも同じSFとくれば、読後感がGene Mapperオービタル・クラウドのそれと似ているのも納得です。

スピーティな展開のなかピンチを切り抜け続ける主人公、周りを固める個性的な登場人物、彼らの口をついて出る専門用語と人間くさいセリフの数々。その読後感欲しい!読みたい!けど英語は、という方は、ぜひ藤井さんの2冊をどうぞ。こちらもすごくオススメです。

調査、執筆、出版にいたるまで、その全てを1人でこなしてしまうまさに「フルスタック作家」。2012年に Gene Mapper と出会いうぉーとテンションあがったことを思い出しました。

そうそう、この本、すでに映画化が決まっています。しかも、エイリアンシリーズなどで有名なリドリー・スコット監督がメガフォンをとるそうです。そちらも楽しみ。